ただ愛で在る

被虐待経験から究極の愛を学びました。善悪を超えたあらゆる愛について、気づいたことをありのままに綴ります。

ぜんそくが教えてくれたこと5

重度のぜんそく患者だった私は、現在、一切の薬を摂っておらず通院もしておりません。

ぜんそくの症状である呼吸困難、胸痛、胸の圧迫感、絶え間ない咳などから解放され、健康を取り戻しています。

ささやかな私の体験談が、どなたかの希望になることを願ってやみません。



それでは続きにまいります。

その冬の記憶のほとんどは、モコモコのスランケットですっぽりと身体を包み、ソファの上でうずくまってひたすら激しい呼吸をしていたことです。
動くスランケットの繊維の先をじっと見つめたり、ソファ布地の織り目の細かい凹凸や、ソファの隙間に入りそうな小さなお菓子のクズなどをじっと見つめながら、一日の大半を過ごしました。

気を紛らせたくてテレビを点けてみたり本を読もうとしてみたものの、内容が全く頭に入ってこないばかりか、集中しようとすると酸素が必要なようで、かえって苦しくなりやめました。

仕事のメールに返信しなければならない時も、呼吸で身体が激しく揺れるので、指先を安定させることが難しく誤字ばかりを打ち込んでしまって、たった1〜2行の返信に長時間を要しました。



ぜんそくの治療は難航していましたが、薬を増量し、種類を変えながら2週間単位(急性発作に使用する以外の一般的なぜんそく薬はゆっくり効いてくる)で観察を繰り返しているうちに、じわじわと春が近づいてきました。

呼吸は日を追うごとに楽になっていきました。

ここで私は、ようやく薬が効いてきた!と喜び、医師もそのように判断をしました。
そして医師から、
「花粉症を持っているとぜんそく症状が悪化する」
と言われたためアレルギー検査を行うことにし、ついでに動物アレルギーを項目に加えることにしました。


このころ私は、かねてからの希望だった犬と一緒に暮らす心構えをしていました。
自分に合う薬を探すまで時間はかかったけれど、今後は、殆どのぜんそく患者と同じように、薬と共存しながら普通の日常生活が送れるようになるだろうと楽観視していたからです。

検査でイヌアレルギーが出ないか、結果を聞くまでの2週間はずっとそわそわして過ごしました。
検査の結果、スギ花粉5、ヒノキ花粉3、ブタクサ花粉1で、イヌネコなどの動物アレルギーは0でした。

花粉症のことはさておき、私はイヌアレルギーがなかったことで大喜びしました。
その場で医師に、今後犬を迎えたい旨を伝えると、彼の顔色がサッと曇りました。

ぜんそくだから犬は飼わない方がいいです。飼うとしても完全に外飼育か、室内でも犬専用の部屋を設けるか。室内で一緒に過ごしたら、ぜんそくが悪化する可能性があります」
というご意見でした。

すでに私の脳内では、犬との幸せな生活が始まっていたので、
「イヌアレルギーがないのにですか?私も仮にイヌアレルギーがあったら再考したと思いますが、なかったのでホッとしたんです。」
と答えると、

「今はなくてもアレルギーは急になるものなんです。医師としてあなたの症状も見てきて、今すでに飼っているならまだしも、これから犬を飼うのは勧められません。」
とおっしゃいました。

喜んだのも束の間、犬との生活に影が差した心地がして、帰り道はすっかりしょんぼりしていました。


その後、ぜんそくの症状は楽になっていき、息苦しいながらも何とか通勤できるようになったため、復職しました。

今思い返せば、この時も仕事を続けたい一心でかなりの無理をして出勤していました。

仕事中に少し動くと激しい呼吸になり、身体をしばらくの間完全に静止しない限りいつまでもおさまりません。
会話すると苦しいので雑談などは一切せず、必要最低限のお返事以外は不自然なくらい無口で過ごしました。
夜の発作がある日も多く、不眠かつ疲労がピークに達したまま朝を迎えては、そのまま出勤しました。
まるで執念で仕事をしていたような感じです。

以前、医師にハッキリ忠告されたというのに、このレベルでまだ気づかないどころか、これでも前よりは楽になっているから大丈夫と本気で思っていたことに、自分でも呆れてしまいます。
それでも当時は大真面目でした。


犬を迎えるにあたり、私は当初、保護犬を引き取ることを考えていましたが、医師に言われたことが気になり初動を渋っていました。

そんなところへ突然、
「いい犬がいたから決めてきた」
と義父より連絡がありました。
思いがけない事後報告でした。

一瞬戸惑いましたが、いい意味で強引な流れのご縁をいただいたと受け入れ、この柴犬メスを迎えることにしました。
(この柴犬さんのことは改めて紹介したいので別記します。)


4月になり、柴犬さん(3ヶ月)との新生活が始まりました。
ぜんそくでは難儀していたものの、念願の犬さんとの生活が叶い、心は喜びと希望に満ち溢れていました。



じっくりお付き合いください、6へ続きます。